TV, RAI: CHE TEMPO CHE FA OSPITE PIERLUIGI BERSANI

最近、個人的にはあまり聴こうと思える音楽がないので、少し寂しい。車の中では音楽を流すのだが、大抵同じものを聴いている気がする。

「今の時代において、音楽はどうあるべきなのか。」そんなことを18歳ぐらいのときから考えてきたが、そんなことはもうどうでもいいかもしれない。はっきりいって、音楽の良し悪しは受け取る側に決めてもらえばいいのです。それがすべて。

しかしながら、最近流れてくる音楽はどれも音楽として死んでいる。とは本気で思う。

でもそれで満足できる人もいるわけなので、今のポップスが悪いわけではなく、否定もしない。どれもデザインされていて素晴らしい。しかし、音は死んでいる。それは断言する。

歌はこういうものであるべき

僕は歌入りの音楽が好きなので歌入りの音楽をメインで考えてみる。

もちろん光っている歌もたまにあるのだが、それはみんなある程度の方向とターゲットを決めてつくっている。僕は音楽を少しやっている立場なので、そういう工夫やトリックは聴き手側として聴いていてもまるわかりだ。もはや、トリックを仕掛ける歌は逆にトレンドではないのかもしれない。僕はですが、そんなことを思います。

そして過去の曲はとてもそういう工夫がない。とてもシンプルで単調で楽器の音がそのまんま。そのあたりは古い曲にはあまり手を付けない僕でも、学ぶべき点は多いと思っている。

James TaylorとNeil Youngに学ぶ、歌の基本

このニ曲はお互いにとってもっとも有名な曲のひとつである。’Fire and Rain’と’Heart Of Gold’。

James TaylorとNeil Youngはほぼ同時期を駆け抜けた、いわゆる「シンガーソングライター」である。James Taylorは大柄の身体に似つかわしくない繊細でブレないギタープレイ、そして温かい声には定評がある。ニール・ヤングは武骨かつ繊細なアコースティック・ギターのプレイも人気が高い。

現代では色んなアーティストの音楽を手軽に聴けてしまうがために色んな要素を取り入れがちなのかもしれない。表現方法も増え、音源ではなんでもやれる。しかし心に届くかというとそれは別の話なのです。

現代の音楽は非常に音圧がある。それは昔の音源と比べると雲泥の差だ。しかしそれが当たり前になってしまったために昔の音源ではしっくりこない人も多いと思う。僕も実際のところ、昔の音源には慣れないので聴きにくいと思うことも多い。だが、空気感や手作り感は昔のほうが上だ。

そして、J-POPに限っては必ずストリングスが入り、いちいち壮大に仕上げようとする。それは音圧を上げるための工夫であり、リスナーに気持よく聴いてもらうための味付けでもある。しかし音楽は本来はギターやピアノと声があればいいのに、それがつまらないと思ってしまいがち。それの拡張版がバンドだ。それを上手いことやったのがビートルズ。

そして載せたYoutubeの話題に戻るが、このアコースティック・ギターの音とプレイは驚くべきクオリティである。そして全くと言っていいほどお客さんに媚びていない。ただ、自分の世界に没頭している。地味だが、いまこういうことができる歌手はいるのかというといないのでは・・と思う。

しかし、このどちらもつまらないと思う人も多いと思う。たしかに音が少なく単調だ。たしかに聴いていて楽しくはならないかもしれない。だがそれは生きている時代が違うからだということもある。歌は時代のものである。決してロックの殿堂になっているような人が一番なわけではない。ただ、聴けば聴くほど分かる「」の違いは明白である。

日本ではシンガーソングライターが絶滅危惧種になった件

僕が唯一好きなJ-POPの女性歌手がいる。YUIだ。僕は彼女の1stTourを観に行ったことがある。そのとき感じたものは特別なものだった。そして彼女も音楽業界のせいで才能が違う方向に使われてしまった。

そして僕のルーツであるMr.Childrenの桜井和寿。少し熱が冷めた今になっても日本で一番歌の才能がある人だと思っている。

今では両方少し状況が変わってしまっているが、以前はシンガーソングライターの存在感は高く、クオリティも高かった。しかし、桑田佳祐、小田和正、草野正宗、斉藤和義、山崎まさよし、スガシカオ・・など、他にもたくさんのシンガーソングライターはいるが、はっきり言ってもうあまり影響力がない。

シンガーソングライターとは常に何故か社会の空気感を表現し、なにかを動かす存在でなければいけない。シンガーソングライターである以上は。だがもう、ビッグネームほど落ち着いてしまって、マイペースに活動している。

その理由はもう歌が飽和してしまったからかもしれない。

色んなシチュエーション、恋愛、勇気、涙、切なさを表現しすぎて、もうJ-POPでは歌は溢れかえっている状態になってしまっている。

人生観や切なさならミスチル。春ならスピッツ。はっちゃけるならサザン。愛なき時代に生まれたわけじゃないと思ったら斉藤和義。ダークなカオスならスガシカオ。また、女性も同じことが言える。

音楽業界は今厳しいと思うが正直な話、そういう理由では無い気がする。今のシンガーソングライターとは名ばかりで、浅すぎる。ただ歌詞とメロディーを作ればいいってもんじゃない。そこに魂と空気感がなければ、ボカロとなんら変わらない。

いまこそ、このJames TaylorとNeil Youngのような自分の世界を一曲に込めることのできるシンガーソングライターが必要なのではないかと思う。例えばYUIの「feel my soul」のようにね。時代や状況は変わっても、良いものは良い、そういう本質は100年経っても変わらないのだ。

今こんなことを書いた理由

僕もシンガーソングライターの端くれとしてこれから少しずつ音楽活動を増やしていこう思っているところです。LIVEをやる度に力のなさに落ち込むばかりですが、それがどうやら無意味なのかと思ってきたから。自分たちができることをただやっていくしかない、そう思うと気楽にライブができる気がしてきた。

このJames TaylorとNeil Youngのように自信を持って歌えば、なにも間違いはない。そんな気がしている。

僕が17歳の頃にロンドンで活躍してきたミュージシャン、クマ原田さんにこう言われたことがある。「あなたは音ではない、言葉だ。ジェームズ・テイラー知ってる?まずはジェームズ・テイラーを聴きなさい。」

そしてすぐにとりあえずベスト盤を買ったのだが、もちろん当時の僕には良さが分かるはずもない。若すぎた。どうにかギタープレイには感動することはできたが、レディオヘッドやU2など刺激のある音楽が好きだった僕にとっては退屈だった。

そして夜中にこんなに文字をタイピングしている僕は本当は言葉で伝えたい人間なのかもしれない。そして今になってJames Taylorの良さがわかるようになった僕はもしかすると・・やっと本腰で音楽活動がスタートができる時期なのかもしれない。

魂のこもった歌を聴くと、人生は少し良いものだと思えませんか?何故なのかはわかりませんが。でもそれが歌の本質なのかもしれませんね。