久石譲×吉岡徳仁 NHK『SWITCHインタビュー 達人達(たち)』

たまたまテレビ欄で見かけた、久石譲×吉岡徳仁 SWITCHインタビュー 達人達(たち)という番組を録画していたので空いた時間に観てみました。最近はアートや芸術に触れる機会があまりなかったので久しぶりに芸術に触れることができワクワクしました。たまにはこういうのも触れないといかんな、と思ってもなかなか観ないんですよね、こういうの。アナザースカイはたまたまよく観るんですが。

SWITCHインタビュー 達人達(たち) – NHK

この番組はジャンルを越え、”アーティスト”同士の仕事を紹介したり、その二人の会談を楽しめる番組です。

SWITCHインタビュー 達人達(たち)とは?

達人達が見ている景色、お見せします。
異なる分野で活躍する2人の“達人”が出会い、語り合う。ただし、単なる対談番組ではありません。
番組の前半と後半でゲストとインタビュアーを「スイッチ」しながら、それぞれの「仕事の極意」について語り合い、発見し合う、いわばクロス×インタビューです。

先ほど説明したように、ジャンルは問わずアーティスト同士の化学反応を楽しめる番組です。

この番組の面白いところは、クロスインタビューといってアーティスト自身がインタビュアーとなって交互に意見を聞き合う・言い合うところです。今までは一方的にインタビュアーが聞き手になる、というのがベターでしたがアーティストがインタビュアーになることで、アーティスト目線での感覚や作り方を引き出すことができます。しかも、交互に話の主役が変わっていくのでそれぞれの職業の違いが楽しめ、個人的には久々に面白いと思った番組でした。

SWITCHインタビュー 達人達(たち)▽久石譲×吉岡徳仁~考える音 感じる形

宮崎アニメからダイオウイカまで音楽で彩る作曲家・久石譲と、世界の名だたる美術館やトップブランドから引っ張りだこのデザイナー吉岡徳仁。音と形をめぐる刺激的対話。

久石を夜の美術館ツアーに招いた吉岡。展覧会場には180万本のストローや、歌手の一青窈が“おいしそう”と表現した「パンの椅子」など、驚きの世界が待ち受ける。描くのではなく「育てる」絵画とは? 驚異の発想力の秘密を探る。久石は「風立ちぬ」「崖の上のポニョ」「小さいおうち」など話題作の舞台裏を明かす。感動を生み出す久石マジックの秘密はどこにあるのか? 「映画の中で最も嘘くさいのが音楽」と言う真意とは。

吉岡徳仁&久石譲

世界的デザイナー、吉岡徳仁さんとジブリでお馴染みの久石譲さんというトップランナー達の会話が聞けるという贅沢な番組でした。

About:吉岡徳仁

吉岡徳仁

吉岡徳仁さんは「クリスタライズ展」の180万本のストローで作ったアートが有名ですね。

吉岡徳仁クリスタライズ展

1967年生まれ。2000年吉岡徳仁デザイン事務所設立。

アート、デザイン、建築など幅広い領域において自由な着想と実験的なクリエイションから生まれる作品は、国内外で高く評価されている。

代表作には、紙の椅子「Honey-pop」、繊維構造の椅子「PANE chair」、結晶の椅子「VENUS – Natural crystal chair」の他、Swarovski Crystal Palace「STARDUST」「Stellar」、YAMAGIWAの照明「TōFU」「Tear Drop」、au design project「MEDIA SKIN」「X-RAY」などがある。

About:久石譲

久石譲

久石譲(ひさいしじょう、Joe Hisaishi、 本名:藤澤守 1950年12月6日-)は日本を代表する作曲家(ピアニスト・指揮者)である。スタジオジブリの宮崎駿監督映画の殆どの主題歌、曲を作曲。北野武監督映画の曲も手がける。その他、CM曲も数多く手がける。

もう説明は必要ないかもしれませんね。「ジブリの人」です。もはやジブリ=宮﨑駿=久石譲という感じですね。欠かせない存在です。

実は高校生の頃に二度ほど、久石譲さんのコンサートに行ったことがあります。

僕はわりとミニマル・ミュージックが好きな方で、自分の作る曲もその傾向があります。結構、繰り返すのが好きなんです。でも繰り返していけばいいというものではなく、重なりやルートの動き、リズムや伸ばし方も重要な音楽です。

僕は久石譲さんは映画音楽家だと思っています。

吉岡徳仁の世界


吉岡徳仁の世界

僕は高校生の頃に「吉岡徳仁」を知ったのですが、初印象は本当にシンプルで光の揺らぎが好きな方だなと思いました。

吉岡徳仁さんの世界観は独特かつシンプルで、つねに真っ白なイメージです。白いもの、透明なもの、物質に拘ったものが多いですね。特に椅子のデザインは面白いものが多いです。

CHAIR Kartel AmiAmi

でも「空間デザイナー」のイメージが一番強いように思います。空間を使ったデザインには世界的に定評があります。

感情に直接訴えかけるデザインを目指して

吉岡徳仁がデザイナーに興味を持ったのは早く、小学生のだそうです。一番の夢を仕事にできていて、尚且つ世界的デザイナーになれた要因はなんなのでしょうか。

それは人の感情や感覚に直接訴えるプロダクトや空間を作ってきたからではないでしょうか。直接、展示に行ったことがあるわけではないのでリアルな意見は言えませんが、写真や映像を見るだけでも「すごい」という言葉が出てくるので実際に観たら面白いのでしょうね。

特に面白いと思ったのは、鉱物に音楽を聴かせて成長させ、それをアートにするという試みです。そんなことやろうと思った発想も凄いですが、結果的に作品にしてしまう構成力とビジョンが素晴らしいと思いました。

MEDIA SKIN,iid a,X-RAY

ケータイなどのデザインもされているようで、感触・洗練さを追求したau design projectの携帯電話「MEDIA SKIN」、iida「X-RAY」も有名ですね。

久石譲は自分の感覚を信じない?

久石さんのお話でひとつ、勉強になったことがあります。久石譲は「自分の感覚を全く信じていない」という部分です。もちろん最終的なところでは自分の感覚を信じて世に送るということはあるのですが、作品を作る中では感覚を信じないのです。

要約しますが、それはどうやらこういうことらしい。

「朝起きるといつもクリックを聴きながらピアノを弾きます。そのとき、同じクリックでも日によって早く感じたり、遅く感じたりする。そんな感覚を自分は信じられない。いつでも同じことができるように身体に覚えさせる。それでなければコンサートで毎回違う演奏なんて聴かせられないでしょう?」

これはどういう意味かというと、感覚というものはいつも違うということを言いたかったのでしょうね。これは僕も理解できますが、極端なことをいうと感覚というものは30分前とでも変わるものです。

jyo_hisaishi_oks

感覚を信じるのはありだが、正しいものに従うことによっていつでも狂わない力を身につけることができます。特に久石譲さんのようなオーケストレーションのある音楽を演奏する場合はマストなことなのでしょうね。

僕も実際に曲ができて、色々やってるうちに5分前に弾いたときと感覚が違って、あれっ?ってなるときもありますし。

なのでそんな感覚を信じるのはおかしい(笑)というのが久石譲流なのでしょうね。

僕はそれを聴いて、「たしかにそうだわ。」と妙に感心してしまったので居ても立ってもいられず、人生で初めてメトロノームを購入してしまいました♪

僕も起きてから最低30分はクリックでピアノやらギターを弾いてみようかと思っています。やばい!!楽しそー!!!

前衛的な音楽を作り続ける

とにかく久石譲の曲はシンプルかつ前衛的だ。先ほど説明したミニマル・ミュージックは今になっても継承されているし、洗練されたものになっている。

そうだ、僕が行ったコンサートのときに発表されたCDがある。

数年前の作品ですが、本当に前衛的です。ミニマリズムツアーというものに行ったのですが、挑戦しているなぁ・・と感心した覚えがあります。

番組内では久石譲の書いた譜面を紹介していたのですが、とても綺麗で驚きました。久石譲曰く、「良い曲は譜面が綺麗。」と言っていました。

常に新しい響きを求め、よりシンプルに。これが久石譲の魅力ではないだろうか。

感想

二人共、時代を牽引してきたトップランナーです。たしかに才能はずば抜けているかもしれません。しかしながら共通する部分はやはり「構成力」ではないでしょうか。こうしたい、ああしたい、など発想出来る人はたくさんいますが、やはり「構成力」がなければここまでにはなれていないと思います。

言い換えるのであれば、「ストーリーをつくる」という技術ですね。

たしかに映画音楽であれば、ストーリーに合わせて作曲します。でも曲もストーリーに合わせるだけでは頭腐なものになってしまいます。なので曲自身にもストーリーを加えるのです。そうすることによって、映像に依存しないものが、作品を引き立てる曲が作れるのだと思います。なので久石譲さんの曲は曲だけで聴いてもストーリーがあります。結果、曲を聴くだけで誰でもストーリーを思い描くことができるのだと感じました。

吉岡徳仁のストーリー

吉岡徳仁さんもストーリーがあります。例えば、スワロフスキーの店舗デザイン。特殊なミラーで作ったものをデザインしました。これは日中の光の変わりゆく姿を楽しむことを考えてデザインされています。例えば夕日なら色が生まれるのでしょうね。

アーティスト関連書籍

あとがき


ジブリでお世話になっている久石譲。僕らには直接関わることは少ないが、時代を牽引している吉岡徳仁。
この二人には才能がありますが、僕は才能とは心からなにかを楽しむ気持ちだと思っています。それがなければ人を引きつけるものはつくれないでしょう。なのでこの二人に負けないように楽しんで生きようじゃないか!